【前回までのあらすじ】
聡明な読者の方はお気づきのように、この物語は行き当たりばったりで書かれていた。ちなみにタイトルを変えたのだった。
第一話→老後に2000万円必要な時代のアリとキリギリス
第二話→終身雇用制度無き時代のアリとキリギリス
第三話→終身雇用制度無き時代のアリとキリギリス その2
第四話→終身雇用制度無き時代のアリとキリギリス その3
第五話→終身雇用制度無き時代のアリとキリギリス その4
第六話→終身雇用制度無き時代のアリとキリギリス その5
第七話→終身雇用制度無き時代のアリとキリギリス その6
コストセンターの男…
アリは理想の自分になるために何に投資すべきかを考えていました。
アリはやりたいことも、好きなこともわかりませんでしたが、
嫌なことだけはわかっていました。
嫌なことは、今のメーカーに勤め続け、地味で堅実だけど将来が見えない生活です。
前回のタイムリープの時は、うだつの上がらない営業をやりましたが、
営業は性格的に向いていないようでした。
とすると、次に目指すのは何か…
とアリは考えました。
アリはプロフィットセンターに行くべきだと考えていました。
会社の中にはプロフィットセンターとコストセンターという切り口があります。
図にするとこんな感じです。
私の図は丸しかないのでしょうか?(※その通りです)
①プロフィットセンターは企業の中で利益を生む部門です。
営業などの部門がこれに含まれます。
②コストセンターは企業の中で利益を生み出さず、費用だけが発生する部門のことです。総務や人事、経理などの管理部門が主に含まれます。
プロフィットセンターの仕事は、利益を生み出す仕事だけあって、会社からのプレッシャーが強い仕事です。外資系などでは、プロフィットセンターの仕事は給料が高い代わりにすぐに首になったりします。
コストセンターの仕事は、どの会社にも存在する仕事であり、職に就きやすく安定しています。その代わり、お給料の高さや華やかさは…ちょっと欠けるかもしれません。
アリ『管理的な仕事はもう嫌だ…かと言って営業も向いていない…だが、なんだか会社に利益を生む仕事の方が面白そうだ…』
そう思った時、アリは一人(匹)の男のことを思い出しました。
そうキリギリスです。
アリ『そういえば、あいつ、企画職だと言ってたな…』
一体どんなことをやってるんだろう?
そう思ったアリはキリギリスに連絡を取ってみることにしたのです。
やっと来た男…
キリギリス「よーひさしぶり~」
さわやかな笑顔でキリギリスは、スタバにやってきました。
アリ「お、おう」
アリはなぜかキリギリスの姿をみて挙動不審になってしまいました。
アリは、昔からちょっと派手なキリギリスが苦手でした。
キリギリス「お前、今何やってんの?メーカー行ったんだっけ?」
アリ「あ、うん。いま研修で、工場の方に行ってて…」
キリギリス「工場!?うっけるー!!www」
アリ「!?!?!?!」
い、今、「うっけるー」っていったか!?
何がうけるんだ!?
俺は馬鹿にされているのか!?!?!
アリはカーっと頭に血が上る気がしました。
しかし、それをぐっと抑えて、アリは続けました。
アリ「キ、キリギリスは今なにやってるんだ?」
キリギリス「俺?なんか企画って形で入社したんだけどさ。今はなんか社長室付けになって、新規事業企画をやってるよ」
アリ「し、新規事業企画…」
か、かっこいい…。
さっきまでの怒りはどこへやら、アリは素直にそう思っていまいました。
新規事業企画とは、会社の中で新しい事業を作って伸ばしていく仕事で、プロフィットセンター中のプロフィットセンター、会社の花形ともいえる部署です。
アリの会社にも確か新規事業企画部があったような…。
アリ「す、すごいじゃないか」
キリギリス「そうか?俺は、本当は商社に行きたかったんだよな」
アリ「え?」
キリギリス「商社ってボーナスで500万円とかでるんだろ?いいよな~」
アリ「す、すごい…」
キリギリス「それに比べるとITなんてダメだな」
あっけらかんとキリギリスは言うのでした。
キリギリスがそんなことを言うなんて、アリは意外に感じました。
アリ「キリギリスはこれからどうするんだ?」
キリギリス「ん?そうだなぁ。今の会社で経験積んで転職するかな…」
アリ「そうか…お、俺も…」
アリは思い切っていってみました。
アリ「俺もキリギリスみたいに新規事業企画とかやってみたいけどできるかな?」
キリギリス「無理じゃね?」
アリ「ぐばぁ!!!」
アリは瞬殺されてしまったのでした。
アリ「なんでだよ!!」
キリギリス「だってお前、大学時代何もやってこなかったじゃん」
アリ「ぐばぁ!!!」
アリは二回殺されました。
キリギリス「俺はビジネスしたかったから、大学時代起業サークルとか入ってアフリカに行って、中古車の輸入会社でインターンとかしたけど、お前は特に何もやってなかったじゃん」
アリ「ぐ、ぐうの音もでない…。というかそんなことしてたのか、すごいな…」
キリギリス「だって俺等の大学って半端じゃん?旧帝ってわけじゃないし、早慶に勝てるわけじゃないし、それじゃあ面接のとき、インパクトで勝負するしかないじゃん」
アリは、キリギリスのことを今までちゃらちゃらした嫌な奴だと思っていました。
こんなにいろんなことを考えていたなんて…アリは「女の子が多そう」という理由で映画館でバイトしていた自分に恥じ入りました。
アリ「じゃ、じゃあ今からでも俺がビジネスを作る仕事に関われる方法はあるかな?」
キリギリス「うーん」
キリギリスは腕(?)を組みました。
キリギリス「なんでお前がビジネスを作りたいかわかんないし、どんなビジネスを作りたいかもわかんないし、そもそもなんか作りたいんだったらそんな人材は会社はいらないと思うんだよね」
アリ「ぐばぁ!!!」
アリは三回殺されました。
キリギリス「俺は中古車売ってたからわかるんだよね」
アリ『ぐう…偉そうに…しかし実績があるから反論できない…』
アリは押し黙っていました。
キリギリス「中古車なんて、安く仕入れて、高く売るじゃん?アフリカじゃ日本車って高いんだよ。それは日本から安く仕入れて、現地で高く売るだけ。すごくシンプルだけど、俺はそこで金をどう生み出すかってわかった気がする」
アリ「はあ…」
キリギリス「アリも【なんかつくりたい】でも全然いいと思うんだよね。結局俺等って、若くて金もなくて、コネもなくて、実績もないじゃん?あるのはポテンシャルだけじゃん?そのポテンシャルを買ってくれるところに飛び込むしかないと思うんだよね」
アリ「…」
アリはキリギリスが自分の何倍も考えていたことにショックを受けました。
アリはなぜだか自分の方がキリギリスよりも何倍も頭がいいと思っていたのに、そんなことはなく、何も考えずに生きてきた自分が恥ずかしくなりました。
アリ「お…俺は何から始めたらいいと思う?」
アリは弱弱しくキリギリスに聞きました。
キリギリス「んー?小さなことから始めれば?」
アリ「?」
キリギリス「だってお前地味なこと得意だろ!」
そう言ってキリギリスはげらげらと笑いました。
しかし、アリはその時電撃に打たれたように感じたのです。
地味で、目立たなく、コツコツやること
これがアリのコンプレックスでした。
しかし、それが今、キリギリスの発言で分かったのです。
それが逆に、俺の強みかもしれない…!!!
普通の奴が、嫌がって途中でやめてしまうことも俺は続けられる…!!
アリは五体に謎の力が集まってくるのを感じました。
to be continued(て~ろてろてってろ~)
キャリアで悩んでいる方はぜひコーチングを受けてみてね!